「懸垂(けんすい)」は、鉄棒などにぶら下がり、ひじを曲げ伸ばしする、おなじみのトレーニングです。
背中、胸、上腕、前腕など、力の伝わる部位を意識しながら、ゆっくりと全身を持ち上げ、再び下ろします。
呼吸の間隔を一定に保つのが重要です。
イルチブレインヨガのインストラクターたちは、懸垂の練習をしています。
その理由をご紹介します。
■前向きな行動変容を起こす
成人になると、体力が落ち、動きが鈍り、使わない筋肉が増え、体が弱っていきます。
懸垂を行うことで、体中の不活動筋肉を一定のリズムで活動させ姿勢を整えることができます。
さらに、前向きな行動変容を起こすことにつながります。
中高年になっても、筋肉や骨に適度なストレスを与えることは必要です。
つまり、適切な食事と運動という当たり前のことが、老化防止にはとても大切なことなのです。
■全身トレーニング
懸垂はとても効果的な筋力トレーニングです。
世界的なプロのスポーツ選手も認める、短時間でできる運動です。
腕の運動だと思うかもしれませんが、全身運動です。
腹筋が弱いと懸垂はできません。
毎日5~10分するだけでも、体力が向上して健康になり、忍耐力もつきます。
■あの松井秀喜も
日米のプロ野球で偉大な成績を残した松井秀喜さんは、メジャーリーグに移籍した後、懸垂トレーニングを取り入れたといいます。
厳しいメジャーリーグの世界で生き残るには、故障の予防と筋力の強化が欠かせません。
松井選手は、所属球団ニューヨーク・ヤンキースのコーチやトレーナーが練ったメニューに従い、金属製の「重り」を使ったウエートトレーニングに日々励みました。
さらに、自らの発案で懸垂を日課に加えました。
これは全身をバランス良く鍛えるためにたどりついた結論だったようです。
■脳の活性化
懸垂は脳の活性化にもつながります。
ベストセラー『バカの壁』などの著作で知られる解剖学者の養老孟司(ようろう・たけし)さん。
『唯脳論』『脳に映る現代』など脳をテーマにした著作を多く出しています。
養老さんは大学の授業から体育が削減されたことを批判してきました。
「現代人は脳が中心だと思っているが、筋肉と脳は密接に関係している。すべての表現には筋肉が必要。体を鍛えないと、応用が利かなくなる」と指摘してきました。
脳は「入出力装置」です。
「入力」というのは視・聴・嗅などの五感、いわゆる知覚です。
一方、「出力」は運動に当たります。
具体的には、五感に入ってきた情報を計算して運動として出しているのです。
つまり、脳と体は常に一体となって機能するのであり、運動をすれば脳も活発になります。
私たちは日々の生活の中で、自分の体がどんな状態か確認したりはしません。
懸垂をしていくうちに、脳が自分の体の状態を自覚しはじめます。
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■健康寿命をのばす
私たちの臓器は場合によって酷使すると悪くなってしまうことがあります。
しかし、脳は使えば使うほど元気になる特殊な臓器です。
知的好奇心を失って、脳を使わないでいると、神経細胞もシナプスもどんどん減っていき、脳機能が低下してしまいます。
認知機能を衰えさせないためには、いつまでも好奇心を持ち、社会とのつながりの中で、適度な知的負荷をかけることによってシナプスの構築を促し、絶え間ない刺激を与えることが大事です。
人間関係のストレスもある程度は必要で、こういった刺激が脳の老化防止につながると言われています。
それに加えて、やはり「体を動かす」ことが大事です。
年を取れば筋肉が細くなります。
例えば、ひざを伸ばす力は70歳代になると30歳代の4割くらいだといわれます。
運動しないと、衰えの度合いはさらに進みます。
宇宙飛行士の向井千秋さんも宇宙に滞在した10日間で筋肉が15%減ったといいます。
■最初は1回もできないのが普通
懸垂を初めてやって1回もできないのは普通です。
無理をせずに、ただぶら下がることから始めてみましょう。
女性インストラクターもがんばって練習しています。
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